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夢降る夜と私小説。

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THE DAY(2)

電車の中で、あたしは慎司先生とざっと、曲の構成の打ち合わせをした。最終的に、『決めても絶対に変わるから』という理由で、リピート回数は決めない事になる。

『音合わせはしない、回数は決めない、そんなテキトーで大丈夫なのぉ!?』

ペーパバックを手に、時々、冗談に反応して笑うミキティは、あたしと慎司先生のやり取りを黙って聞いていた。

慎司先生は、今日のメンバーは、全員大学の同じサークルで一緒に演奏していたメンバーだという事と、見に来る人も当時のサークルの部員か、友人だと教えてくれた。

慎司先生の根拠のない『大丈夫』にたっぷりプレッシャーをかけられ電車に揺られ四十分。S市に到着した。地下鉄に乗り換え二駅。駅を出ると、落ち着いた雰囲気の街並みが続いていた。あたしは『好きなカンジ』のところだなと思う。緩やかな坂になっているメインの通りを五分ほど歩くと、目的のライブハウスがあった。そこはライブハウスと言うより、カフェと言った方がいいようなお洒落な場所だった。

慎司先生がドアを開けて、スタッフの方に挨拶をしてからミキティとあたしはお店に入った。

「小山内さん。今日はよろしくお願いします」

「はいよ。お、この娘が?」

「紹介します。うちの学校の、磯谷さくら。そして、担任の美紀先生です。こちら音響の小山内さん」

「はじめまして」
ミキティがお辞儀をしたので慌ててあたしも挨拶をした。

「シンちゃんの演奏であの曲がまた聞けるなんて本当に嬉しいよ」

「はは。・・・ありがとうございます」

「えっと、さくらちゃんだっけ? 楽しみにしてるよ」

「え、あ、はい・・・」
あたしは慎司先生を見上げた。
by yumefuru | 2011-07-26 18:53 | 小説 STILL BLUE
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夢が届けてくれた物語。そのかけらをひろいあつめて綴ります。


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