夢降る夜と私小説。

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面談

「成瀬先生、ご存知でした?」
月曜の放課後、急に呼び止められる。

「美紀先生。何をですか?」

「今日、うちのクラスの磯貝さくらさんの面談だったんです」

「はい」

「お母様とお父様、別居中なんですって」

「え?」

「お父様はロンドンで暮らしているらしくって。今、さくらさんは、お母様と二人暮らし。しかも、公演やなんかで、夜も遅いし、お家には、ほとんどいらっしゃらないみたいなんです。わたし、驚いちゃって・・・」

「ほんとですか?」

「進路も決めなくちゃいけない、大事な時なのに・・・。このまま、日本の大学に進めたいってお母様は言ってるし、母親には任せられないと言ってお父様はロンドンの大学に呼びたいって・・・。さくらさん本当に悲しそうな顔してて。先生、本人から何か聞いてませんでしたか?」

「・・・私は何も」

「よく、音楽室に行ってるみたいだから、相談を受けてるかなと思ったんですが・・・」

「そんな話・・・なかったですよ。それで本人は進路どうするって?」

「よく考えてみますって・・・」

「・・・そうですか」

「私、これから、学年主任に相談に行ってきます」
そう言い残して、美紀先生は職員室に入って行った。


   * * * * * * * * * * * *


教官室に戻ると内線電話がなる。
「・・・。はい、音楽教官室です。はい、私です。成瀬です」

教頭からの電話だった。
美紀先生から学年主任に、そして教頭へと話しが伝わったのだろう。

「その件なら、美紀先生からさっきお聞きしました・・・」

いかにも、教頭らしい説得が始まった。学校のため。実績のため・・・。

「私に何ができるか分かりませんが、とにかく、様子を見てみるということで・・・」

受話器を置く。
by yumefuru | 2010-05-13 12:29 | 小説 STILL BLUE
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夢が届けてくれた物語。そのかけらをひろいあつめて綴ります。


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