夢降る夜と私小説。

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ビターチョコレート

昼休み、教官室へ戻ると人の気配。散らかった机に顔を伏せてさくらが座っていた。

「また、かってに入って」

「・・・」

「しょうがないな」

煙草に火をつけて三階から中庭を見ると、たくさんの生徒たちが休み時間を過ごしていた。その中に、ベンチに座った女生徒と向かい合うように立つ牧野がいた。ときどき、牧野が笑う。
吹奏楽部副部長3年の吉沢智美。

「泣くなよ」

「泣いてない!」

くわえ煙草で、冷蔵庫を開ける。
「チョコ食べれる?」

「えっ? はい・・・」

「悲しいときはね、甘いの食べるの。はい」

拍子抜けした顔で、さくらは差し出された生チョコを食べた。
昼休みはあと5分程で終わる。中庭にいた生徒たちもそれぞれのクラスへ戻っていく。

「そろそろ、クラスに戻ったほうがいいよ」

「・・・」

「これ、弾いてくれよ。今度」
俺はさくらに楽譜を渡す。

「待ってるから」

そして授業開始のベル。





『約束、忘れないで』





唯の言葉を思い出す。

「まかせとけって、言えないな・・・」
by yumefuru | 2010-05-11 12:35 | 小説 STILL BLUE
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夢が届けてくれた物語。そのかけらをひろいあつめて綴ります。


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